山下有子[Arico] プロフィール

ピアニスト&作曲家。
α-Station(エフエム京都) 土曜20時〜『Aricoピータースレストラン』DJ。
岐阜市出身。京都市在住。

父の手ほどきで一歳からピアノと夢中で遊び始める。武蔵野音楽大学器楽学科ピアノ科卒業。学生時代は実験映像、フリージャズ、前衛舞踏、現代アート、フィルムノワールに夢中。色んな楽器~チェンバロ、笙、タブラに打ち込んだ後、インド音楽とバッハの接点を見出だしピアノで即興演奏をはじめる。

京都でエディトリアルデザイナーの羽良多平吉さんと出会ってご縁が拡がり1999年、辻仁成監督映画「千年旅人」オリジナル・サウンドトラック「Kanata」でメジャーデビュー。映画「ほとけ」「フィラメント」「ACACIA」、TVドラマ「愛をください」「嫉妬の香り」コンピCD「イマージュⅡ」「冷静と情熱のあいだ」等へ参加。2007年ベスト盤「bitter&sweet」を SONY・MUSIC・DIRECTよりリリース。2011年、軽井沢千住博美術館の映像音楽を担当。2012年、7年ぶり5枚目になるセルフ・プロデュースソロアルバム『二人のピータースレストラン』リリース。同年白川郷の海外向け観光用映像音楽を担当。2013年4月、5月、辻仁成作・演出リーディングドラマ「その後のふたり」の舞台の音楽をピアノの生演奏、即興で、東京・兵庫合わせて17公演全てを手掛ける。

近年バンコク、ザルツブルク、パリ公演と続いて日本の響きを世界へ積極的に発信している。

Aricoのデビューにはさまざまな人の輪が、ゆるやかに、たおやかに絡み合う。
そのはじまりは、ひたすら内省し、曲を作り続けていた20年ほど前に遡る。
武蔵野音大での正統な音楽教育に飽きたらず、大学の授業よりアート系の映画鑑賞や前衛芸術家とのコラボレーションに明け暮れた学生時代。
その後、邦楽の音の導きで、京都へ移住。
それまで片時も離れなかったピアノから、「笙」や「タブラ」に身を任せる日々…。Aricoの音への創造欲求は、好きな香り(アロマ)を辿る旅のように揺れ動く。
そうして再びピアノに指を落とし始めた頃、京都・北大路の人形が蠢く不思議なカフェで巡り会ったのがデザイナーの羽良多平吉。彼との出会いにより、Aricoのサウンドがカセットテープに内包され、小さな贈り物として、ひとりひとりの手から手へ、まるで何本もの見えない銀色の糸が放たれていくように、さまざまな場所の、さまざまな人々へと届けられていくこととなる。
それらは元YMOの細野晴臣や、当時ニューヨーク在住だった作家の辻仁成、そしてAricoの高校時代からの憧れの存在であった松岡正剛のもとにも届けられた。
(ご存じの方も多いであろうが念のために言っておくと、羽良多はあの『外は、良寛』や『フラジャイル』などのエディトリアル・デザインを手がけている)そして松岡もまた、Aricoをいろいろな人へと繋いでゆく。それはまさに松岡流、人と人との出会いのエディット。そうして松岡は、「年齢も近いし、何より感性が近いからきっとすぐに気があうだろう」と、Aricoを、岐阜在住ながら、東京、四国などで企画の仕事をしてい古田菜穂子に紹介することとなる。当然の如く二人は即座に意気投合し、その半年後には大垣市での『音と香りと言の葉と』と題された、松岡の声(voice)と話にAricoのピアノと香りが絡み合うというフォーラムを古田が構成・演出する。
その後は高松の民家博物館・四国村にて、やはり私が企画した松岡の『日本再発見塾~面影の国』という講義の中で、松岡と会話するようにAricoのサウンドがコラボレイトするなど、Aricoと古田は、松岡の瞳と手と声と意図の中でさまざまな世界を紡ぎ出してきた。
1999年11月には、辻仁成の初監督映画『千年旅人』の映画音楽に起用され、Aricoは サウンドトラック『kanata』でメジャーデビューを果たす。 2000年7月にはTVドラマ『愛をください』の劇中音楽も担当、サウンドトラック『Blue Sky on the Park』をリリース。2001年春には、コンピレーションアルバム『Image2』や、辻仁成・江國香織の著書「冷静と情熱のあいだ」のコンピレーションアルバムにも参加。
その後、辻の第2作 『ほとけ』、最新作『フィラメント』の映画音楽も手がけている。
Aricoの香るような音が紡ぐ世界は、時間と空間を超えて聴く者のこころにゆるやかに届き、そして人は知らずして癒されていく…。

(文中敬称略  文・古田菜穂子)